身体髪膚
身体髪膚(しんたいはっぷ)=からだ全体のこと。
からだと髪と皮膚の意から身体をさし、肉体のことをいう。
頭の先から足の先までの意。
古くは「しんだいはっぷ」また、「しんていはっぷ」と言った。
「身体髪膚、之(これ)を父母(ふぼ)に受く、敢(あ)えて毀傷(きしょう)せざるは、孝(こう)の始めなり」
(自分の体は髪の毛から皮膚に至るまで、すべて父母からいただいたものである。大切にして少しの傷もつかないようにするのが孝行の第一歩である。)
という孔子の言葉から。
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先日、私の長男が仕事中に膝から下に大量の熱湯を浴びる事故が起き、私とポンパも衝撃を受けました。
彼は、私の懸命の努力とポンパの協力により、玉のような男の子として産まれました。
出産時は難産でして、二日二晩ポンパは苦しみ、母体がもたないとの医者の判断で鉗子を使用して、彼はポンパの悲鳴と共に、この世に生を受けました。
幼児の頃から、どちらかといえばドジな子でして、歩いていても良く転ぶし、自分からコンクリートの電柱に、まともに、ぶつかって泣いた事もありました。
神経は、かぼそく、歩道を歩くにも親の手を握っていないと怖がるような子でした。
長男に比べますと、3年後に産まれた次男は、むしろ手をつなぐ事を嫌がる子でして、買い物に行っても、長男は親から離れずにいるのに、次男は気がつくと1人で勝手に歩き回る子でした。
長男は引っ込み思案な子でして、小学生時代は私も家で勉強を教えながらも、この子の行く末を心配し、人知れず悩んでいるほどでしたが、中学生になり、吹奏楽部に入ってからは目覚ましく性格の変貌を遂げ、学校の授業が始まる前の、スパルタ教育方法を採用している担当指導者からの厳しい朝練や午後練にも耐え、性格的にも積極性を見せ、吹奏楽部の県大会出場時には、会場の県民ホールで私たち夫婦も応援見学に行ったのですが、彼の一生懸命に演奏している姿を見て、涙が止まらなかったことを良く覚えております。
その後の彼は、吹奏楽部で有名な高校を優先的に選び、横須賀の高校に決まりました。
確かに吹奏楽部では関東大会や全国大会にも出場経験のある有名校でしたが、家からは遠く、ポンパも弁当作りなどで早朝から起きて大変だったようです。
しかし、3年生になった彼は、突然、大学進学を希望するようになり、退部を決意し、私は勿論賛成でしたが、吹奏楽部や学校側からは吹奏楽部の方に力を入れて欲しいとの説得を受けたそうです。
その際、私が後日怒りを覚えた事件が起きました。
彼の退部願いを聞いた吹奏楽部の顧問の先生は、さんざん思い直す事を話し合った上、長男の意志が強い事を知り、最後には了解してくれたそうですが、長男が挨拶をして部屋から出て行こうとした時、「おまえなんか、いくら勉強したって、大学に入れやしないぞ!」と、彼の後ろ姿に向かって、捨て台詞を吐いたそうです。
長男は、帰宅後、その事を私に笑いながら淡々と話し、「そう言われちゃったよ!」と言っておりましたが、私は、その教師としての、あるまじき言葉、たとえ、それが本心であろうと、あるいは吹奏楽部に残って貰いたい一心で言った思いであろうとも、彼の生徒に対する、心ない優しさのない言葉に、悔しさと強い怒りを覚え、夜、布団の中で悔し涙を流しました。
結果的には、その教師の言った通りに受験は失敗し、彼は今の会社に勤める事となりました。
彼の務める会社は、精密機械の、またその一部の精密部品を作る工場に勤務しております。
部品の90%近くまでの完成度は、コンピューター仕掛けの一台3000万円位する機械により製作するのですが、残りの10%を彼が1000分の1ミリの精度で、手作業で加工するのです。
彼から私が聞いて感心した事があります。
例えば、最近はクレジットカードを製作する機械のナンバー部分を打ち込む為の、0から123456789という数字の部品を製作しているのですが、普通の感覚ですと、1000分の1ミリ単位で、同じ物を製作すると思う所ですが、これが実際には、偽造防止などの為から、あえて、その数字文字に歪みをというかクセを付けるのだそうです。
「ほら、ここの8の数字の右上を良く見て、こっちと違うでしょ?」と、彼から説明を受けても、なにしろ1000分の1ミリ単位の中での誤差みたいな変形ですから、私が見ても同じように見えるのですが、これを大きなルーペで見ますと、なんとなく違うように見える程度の違いです。
同じように感心したのが、1000分の1ミリの誤差をチェックするには、1000分の1ミリ単位の測定器(マイクロメーターなど)が必要だという、改めて考えれば当たり前のことなのですが、数年前までは100分の1ミリの受注品だったそうですから、仕事としては余計に神経を使う仕事となってきたようでした。
それが、ここへ来て、100年に1度の不況とかで、彼の会社としても受注が減り、社員全員の残業仕事へ中止命令が会社から出たのです。
彼は35歳で、小学生の子供が2人いる身。
今までは、残業代が入って、なんとか生活ができる状態でしたから、困ってしまい、1年ほど前から、会社の近くにある工場に、会社が終わる夕方から深夜までの時間、アルバイトを見つけ働くようになりました。
その工場は、大手チェーン店のラーメン屋さんの工場でして、そこで何をしているのかと言いますと、その工場では、豚骨ラーメン用の出汁(ダシ)だけを専門に作っているのです。
運び込まれた豚の頭や足を消毒して、バラバラに解体し、熱湯に長時間入れて茹で、確か一番出汁は臭みが出るので捨ててしまい、2番出汁を使用して味を調えるまでの仕事だそうです。
その仕事の最中に、同僚の過ちから彼は膝下全体に熱湯を浴びてしまい、後日聞いた話では、思わず絶叫してしまったそうです。
すぐに水道水にて冷却処置をとられながら、病院へ行ったのですが、最初に言った山本記念病院では処置できないと断られ、次に行った港北ニュータウンにある昭和大学病院にて処置していただいたとの事でした。
(先日、深夜、この病院の看護師3~4人が帰宅しようとして信号待ちをしている際、暴走してきた車にはねられて亡くなられた病院です。)
その時、救急車ではなく、会社の車で送られたとの事を私は後で聞いてから、何故、会社は救急車を呼んでくれなかったのか?と、怒りました。
昭和大学病院では、早速、手術が行われ、火傷した膝下の皮膚全体がゴムのように伸びるのを執刀医が切り開き、麻酔無しで奥の方までメスを入れられた時に、35歳の長男は余りの激痛の為に、声を上げて泣いてしまったと言っておりました。
後日、工場の上司達は皆、頭を丸めて謝罪とお見舞いに来たそうですが、私が同席してたなら、ひどく怒鳴りつけていた事でしょう。
事故の話を聞いたポンパは、その晩、寝られなかったようで、朝、泣きながら私の部屋に入ってきて、長男の事を可哀想がっておりました。
私も1度は寝たのですが、2時半頃には起きて、悶々としておりました。
思い返せば、彼は、幼児の頃から自爆事故を何回も起こしておりました。
幼児の頃、カップラーメンに熱湯を注ぎ、3分間待つように言われた彼は、ポンパがちょっと目を離したすきに、カップラーメンの中を覗こうとしてカップを倒し、熱湯を両太ももに浴びてしまい、その絶叫を聞いたポンパはパニック状態で絶叫したものですから、隣室にいた私は何事が起こったのか?との思いで、駆けつけ、事の次第を知ると、すぐに洗面所に彼を寝かし、水道水をジーパンズボンの上からジャージャーと掛けたのですが、痛みと寒さの為に、彼も悲鳴を上げており、その声を聞きつけた私の父は、事の詳細を知らずにいたものですから、私に向かって、「風邪をひいちまうじゃないか!」と、怒ったのでしたが、結果的には、この対処法が、初期方法としては良かったようで、その後、病院に行った時は、評価され、火傷自体も後遺症が残らずに済みました。
また、彼は中学時代、高校時代にも、自転車を運転していて花屋さんの店の中に、まるで特攻隊兵士のように突っ込んで自爆したり、駅から自宅に帰ってくるのに歩道を走ってきて転倒し、普通なら転倒しても多少の擦り傷程度のはずですが、彼の場合は、両手や顔面も強打して、血だらけになって帰って来た事もありました。
大人になり、原付免許を取ってからは、夜、コンクリート電柱に激突したりと、その他にも今は思い出せない事もありますが、彼は今まで何度も生傷の絶えない半生を送ってきたのです。
今回の場合は、自爆事故とは言えないものではありましたが、日中の労働と、バイトでの労働で、やはり肉体的に相当な過労状態であったと想像されます。
元気であったなら、熱湯を浴びされそうになった時も、瞬時に体をかわせたかもしれません。
親としては、タッキーに似た、きれいな男の子として産んであげたのに、本人が次々と自分の体を傷だらけにしていく様子を聞く度に、ため息の出る思いなのです。
一方、次男の方は順風満帆かと申せば、彼は彼で、東京消防庁の消防士として現場で働いておりますから、彼自身は泣き言を一切言わない性格ですので、詳細は不明ですが、一緒に食堂でテレビを見て、お笑い番組などで笑っている時など、消防士だからと言って、基本的には火炎の中に入っていくことはないと思いますが、その熱風を浴びているせいだと思われるような傷跡を発見することがあります。
昨日から公休日として帰宅しているのですが、昨夜も、両方の耳たぶが赤黒く腫れているのをポンパが発見して、前日は消火活動を行って来たんだな?と思わせ、たとえ聞いても、仕事の情報は家族にも言いませんので、ポンパの心を暗くしております。
公には言えない事ですが、ポンパはテレビを見て大笑いしている次男の背中に向かって、「決して、火の中に入っていくんじゃないよ!他の消防士の背中を押して、おまえは後ろで指図してればいいんだから!」と、冗談で言っておりますが、ま、それが母親としての本音なのでしょうね。
そんな次男も、来年1月6日の東京消防庁主催による、「東京消防出初め式」には、赤坂消防署の代表で消防車を運転し、パレードに参加するようですので、我が家でも、私、ポンパ、バッタの3人で、見学に行こうという事になりました。
私は1月6日(水曜日)は、出勤日ですが、9日(土曜日)の公休日と振り替えて見学に行くつもりです。
消防士は、いつ殉死するか分からない職業でもありますから、できるだけ彼のハレの姿を見て、記憶に留めておこうとの思いです。
孔子翁の言われる、「身体髪膚(しんたいはっぷ)」という意味からは、2人とも、まったく親不孝な子であります。
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コメント
命に別状が無かったとは言え、大やけどをされたのは正に悲劇。
可哀想に、痛かったでしょう。
その事を思う親の千さんとポンパ夫人はさぞ辛かったろうとお察し致します。
怒りを向ける相手も張本人と上司しか無いとは言え、これも不況の産物、苛立たしい限りです。
無事、回復される事を願うばかりです。
特にパンパ夫人の心労は計り知れないものがあります。
千さんも辛いでしょうが、奥様に心遣いされます様に。
投稿: otyukun | 2009年12月20日 (日) 14時51分
otyukunさん♪
otyukunさん、ありがとう!
先週は心痛な事が色々重なって到来し、私も疲れました。
そのせいか分かりませんが、ここ数日の間、
朝、シャワーを浴びる時に、毎日吐き気に襲われ、
オエオエ言いながら、シャワーを浴びております。(笑)
吐いたりはしないのですが、酒量を減らしても変わらずで、
きょう、病院に行って医師に説明しましたら、
「朝、シャワーなんか浴びなくたっていい!」と
言われました。
「オイオイ!それって、話の意味が違うだろうが!」
だよね?(笑)
きょうは、私の主治医の代理のS医師だったのですが、
この医師とも昔から仲良くしてまして、大分前の話ですが、
私が、酒の飲み過ぎのせいか、朝、下痢するんですが、
と、言うと、「オレも、そうなんだよ!」という珍回答?
誠に、「暖簾に腕押し」の医師なんです。(笑)
で、この数年間、胃の内視鏡検査もしてないので、
「何でもないだろうけど、一応、検査してみましょう!」
という事になったのです。
さて、本題ですが、
親としては、子供がいくつになっても心配なものです。
結婚して、子供ができ、経済的な生活は苦しくとも、
夫婦、家族が仲良くしてくれていれば安心ですが、
今回のような事故や、病気を発症しても心配になります。
何も無く、平穏無事に生活していてくれればと思いますが、
彼は、時々、やってくれますので、先日もポンパと、
彼から電話があるのも怖いけど、最近電話を寄こさないのも
怖いね?と、冗談交じりに話していた矢先だったものですから、
「やっぱり!」という感じでした。
もっとも、今回は事後報告の話を聞くだけで、
何もしてあげられず、結果的に、気をつけなければ、
ダメじゃないか!と、怒る口調になってしまいました。
心の中では、彼自身も過労のせいで注意散漫になって
いたのだろうとも思い、家族を守る為に一生懸命に、
働いているのだ思えば、可哀想にも思ってしまいます。
>奥様に心遣いされます様に
との事ですが、私ほど優しい夫はおりませんよ!(笑)
夜、帰宅すれば、ポンパの職場での面白く無い面白話を
聞いてあげますし、(笑)また、私のお客さんの
本当に面白い、面白話も話して、食事中の団らんを、
一生懸命に盛り上げております。
時々、バッタが理解不能の事もありますけどね!(笑)
きょうも、バッタから聞かれた事ですが、、
「ナショナルって、東芝のことかい?」ですって!(笑)
思わずズッコケましたよ。
もっとも、この質問は意外に難しい部分もありまして、
ナショナルは松下電器産業の国内でのブランド名でしたが、
最近、松下電工共々、社名をパナソニックにしたので、
そう言われてみれば、ナショナルのブランド名は
どうしたんだろうか?と、私も説明するのに窮しました。
とりあえず「東芝とは違う会社だよ!」という返事で、
彼女も納得してくれましたので、詳細の説明はしませんでした。
そんな危ないバッタですが、孫や私どもが交代で、
心配をかけておりますから(笑)きっと、ボケ防止には
なっている事だと思います。
私って、本当に親孝行の息子でしょ?(爆)
投稿: 萬屋千兵衛 | 2009年12月20日 (日) 17時47分
ご子息はたいへんな目に遭われましたね。やけどは切ったの折ったのより、痛みもひどいですし、完治まで時間もかかりますし。千さんご一家も、息子さんのご家族も、どんなにかご心配のことと思います。一日も早い「完治」をお祈りいたします。
投稿: とんぼ | 2009年12月20日 (日) 22時54分
とんぼさん♪
優しいお言葉をかけていただき、ありがとうございます!
温室育ちの私も、老いてから色々と苦労が出て来ました。(笑)
神は私を、まだまだ成長させるつもりなのでしょうか?
これ以上成長させても、もう先が無いっていうのに!(爆)
きょうの内視鏡検査では、胃はとてもきれいでした。
結果、処方された薬は、ジェイゾロフト!
抗うつ薬です。
そっちかい?って、感じ。
。。。ほんとに、そっちなのかなあ???
投稿: 萬屋千兵衛 | 2009年12月21日 (月) 21時38分
ジェイゾロフトって肝臓代謝の薬じゃありませんでしたっけ>それって、お酒飲むと酔いが早く回るんだったと思います。もしかして「お酒の量を増やさないための薬む」だったりして?経済的だし…?
冗談はさておき、やはりストレスは今まで以上でしょう。気持ちをできるだけゆったりして、
時間の癒しを待ちましょう。
投稿: とんぼ | 2009年12月23日 (水) 21時56分
とんぼさん♪
メリークリスマス♪
昨夜は飲み過ぎました。
気持ち悪い。。。(笑)
お心遣い、ありがとうございます。
ストレスの無い国へ行きたしと思えども、
ストレス無しの国は面白く無いのかもね?(笑)
投稿: 萬屋千兵衛 | 2009年12月25日 (金) 05時40分